行政書士試験は範囲が広いため、合格するためには試験対策のポイントをおさえて、範囲を絞りながら効率的に学習をすすめることが求められます。この記事では科目別にどのように勉強するのが効率的かを書いていきたいと思います。
科目別の配点
まずは科目別に配点を確認していきましょう。配点が多いところは重点的に学習するのが、どの試験でも共通する鉄則です。行政書士試験では行政法と民法の配点が圧倒的に多いです。また一般知識は足切りがあるので、おとすわけにはいきません。きちんとした対策が必要です。
科目 | 択一式 | 多肢選択式 | 記述式 | 配点計 |
基礎法学 | 2問 | 0問 | 0問 | 8点 |
法学 | 5問 | 1問 | 0問 | 28点 |
行政法 | 19問 | 2問 | 1問 | 112点 |
民法 | 9問 | 0問 | 2問 | 76点 |
商法・会社法 | 5問 | 0問 | 0問 | 20点 |
一般知識 | 14問 | 0問 | 0問 | 56点 |
合計 | 54問 | 3問 | 3問 | 300点 |
ここで私の考える「力を入れる科目」について5段階で見ていきます。
基礎法学 ★★
基礎法学は例年択一式で2問出題されます。
2問に対して全力をかけていては時間がもったいない基礎法学ですが、この基礎法学というのは法令用語や法の解釈などですので、これから法律を勉強するにあたって、基本として必要な部分になります。
これから他の科目を勉強するにあったても必要な解釈がありますので、まずは最初に手をつけておくとよいかと思います。そこでだいたいの法令用語や法律の解釈を覚えたら、毎日手をつけなくても大丈夫です。あとは時間に余裕のある時、試験前などに過去問などを中心に演習問題を解きましょう。
法令用語や法の解釈は、法律の勉強の基礎なので、まずは最初に手をつけて基本のところを押さえましょう。そのあとは毎日手をつけなくても、他の科目にうつって大丈夫です。
憲法 ★★★
憲法は択一式で5問、多肢選択式で1問出題されます。
政法や民法ほどの出題数ではありませんが、計6問出題されるうえに、範囲も他の科目に比べたら絞りやすいので、得点源として大事にしたい科目です。
内容としては中学校の公民や政治経済の科目で勉強した、日本国憲法から出題されます。日本国憲法の条文にある基本的人権や政治機構についての問題や、判例問題が主になります。最近は奇問などもありますが、過去問を中心に演習を解くと傾向が掴みやすい科目です。憲法は、下に出てくる行政法・民法ほどではなくても、なるべくコンスタントに触れていたい科目です。
憲法は全部で103条。他の科目に比べて、的の絞りやすい科目になります。
行政法 ★★★★★
行政法は択一式19問、多肢選択式2問、記述式1問と、大変配点が大きい科目です。
ちなみに行政法という法律は存在しておらず、行政がさまざまな活動をする際の運用する法律の総称で、千種類以上の法律の集まりをいいます。ただ試験に出る法律は絞られるので、試験対策のポイントを押さえて勉強をすすめましょう。特に「行政不服審査法」「行政事件訴訟法」からの出題数は多いので特に力を入れたいところです。
行政法は暗記が多いので、学習を始めた日から、試験日前日まで毎日触れていたい科目です。
行政法は出題数が多く配点が高い科目です。暗記する内容も多いので毎日触れるようにしましょう。
民法 ★★★★★
民法は択一式9問、記述式2問になります。択一式が行政法より少なくなっていますが、配点の高い記述式が2問出題されるので、配点は高い科目です。
民法は2020年の試験から改正民法が適用されています。もしそれ以前に法律の勉強をしていた方は注意が必要です。またこれから勉強される方は2020年度以前の参考書等は使わないようにしてくださいね。
民法は暗記に加えて、判例に伴った解釈なども出題されます。条文をそのまま聞いてくるような問題であればラッキーですが、そうもいきませんので演習問題に慣れる必要があります。1000以上の条文がある民法ですが、出題される範囲は狭くはありませんが傾向があります。テキストに沿って理解を深めた後に、過去問や試験対策の演習問題を利用して学習をすすめてください。暗記箇所は目によく触れるところにおいてインプッドするのが効果的です。
こちらも行政法同様に学習を始めた日から、試験前日まで毎日触れるようにしたい科目です。
択一式がきちんと解けるようになれば、必然的に記述問題もある程度書けるようになりますが、民法の理解が深まったら記述問題演習にも取り組みましょう。配点が高いので2問とも得点できると合格に大きく近づきます。
商法・会社法 ★
商法・会社法は択一式で5問出題されます。
この法律は範囲が広い他に、初学者には理解も難しい法律です。5問すべてを捨てるにはもったいない出題数なので、簡単な問題はおとさない程度にとめておくのがいいのではないかと個人的には思います。難問まで解けるほどの理解をしようとすると時間が足りません。得意分野であるとか、すでに知識があるなどでなければ、その時間を行政法や民法に使ったほうが合格に近づくと思います。
私の場合ですが、テキストの重要部分、それに付随した演習問題、それと過去問を試験1ヵ月前から勉強するのみにしました。
範囲が広く、理解も難しい科目です。足切りもない科目なので、個人的にはこの科目を勉強する時間は行政法と民法に使ってもいいと思います。
一般知識 ★★★★
一般知識は択一式で14問出題されます。
ここで厄介なのが、一般知識には足切りがあるということです。24点以上、つまり14問中6問は正解できないと、法令で180点以上得点しても不合格となってしまいます。
一般知識は更に3つの科目からの出題となり、「政治・経済・社会」「情報通信・個人情報保護」「文章理解」に分かれます。
この中で「政治・経済・社会」については時事的な問題もあり、範囲が広すぎて確実な学習方法はありません。1問でもとれれば御の字と割り切りも必要です。
「文章理解」は高校入試や大学入試の現代文の長文読解なので落ち着てい3問とも正解したいところです。この「文章理解」は例年問題の形式は似ているので、何度か演習問題や過去問を解いて、形式に慣れておくことをおすすめします。ただ過去問と同じ問題は出ませんし、演習問題とまったく同じ問題が出る確率も少ないと思うので、時間に余裕のある日や、他の科目に集中できない日に解く程度でよいかと思います。
その点「情報通信・個人情報保護」は法律からの出題が中心になるので、ある程度は的が絞られます。一般知識で力を入れた分、見返りがあるのはここだと思います。問題数に対して決して狭い範囲ではありませんが、足切りがある科目ですので、個人的には上の商法を勉強するより、一般知識に力を入れる方が得策かと思います。
最近は「政治経済」7問、「情報通信・個人情報保護」4問、文章理解3問となっているので、「情報通信・個人上保護」と「文章理解」で6問とれれば足切りは回避できます。
一般知識は足切りがあり、24問中6問以上正解しないと、180点以上に到達していても不合格になります。「情報通信・個人情報保護」「文章理解」を得点できるようにしましょう。
まとめ
行政書士試験は、範囲は広いですが、きちんと試験対策を知っていれば、何年もかかる試験ではありません。そのためには過去問分析や、予備校や通信講座のテキストや参考書にある効率的な試験対策にともなった学習計画が必要です。満点をとらなくても6割とれれば合格する試験ですので、完璧に全てを網羅しようとせず、ポイントを絞って勉強することが合格への最短ルートです。
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