「異次元の少子化対策」の焦点となっていた児童手当について、政府は支給の対象を18歳まで引き上げ、所得制限を撤廃する方向で調整に入りました。
今の児童手当は、中学生以下の子どもがいる世帯に1人あたり月額1万円~1万5000円が支給されますが、一定以上の所得がある世帯は減額されたり、支給されなかったりします。
昨年2022年10月に、所得制限により、一部高所得世帯へは不支給となりましたが、国民や与野党から「見直し」を求める声が高まっていました。
この記事では、2023年5月現在の児童手当の要件と、所得制限撤廃はいつなのか?どういう内容なのか?についてまとめていきます。

所得制限撤廃のほかにも、検討される内容に注目!
児童手当の要件は?
お子様がいる方であれば、児童手当の要件は大変気になるところですよね。
2023年2月には、所得制限の撤廃などを含む児童手当の見直しの法案が提出され、今後の動きについて注目を集めいています。
まずは2023年5月現在の要件について確認していきましょう。

1.支給対象
中学校卒業まで(15歳の誕生日後の最初の3月31日まで)の児童を養育している方
2.支給額
・3歳未満:一律15,000円
・3歳以上小学校修了前:10,000円
(第3子以降は15,000円)
・中学生:一律10,000円
※所得が一定以上の場合は、月額一律5,000円
※「第3子以降」とは、18歳の誕生日後の最初の3月31日まで養育している児童のうち、3番目以降を指します
3.支給時期
毎年6月、10月、2月に、それぞれの前月分までの手当を支給します。
4.その他の要件
・児童が日本国内に住んでいる場合に支給
※留学のために海外に住んでいて一定の要件を満たす場合は支給対象
・父母が離婚協議中などにより別居している場合は、児童と同居している方に優先的に支給
・父母が海外に住んでいる場合、その父母が日本国内で児童を養育している方を指定すれば、その方(父母指定者)に支給
・児童を養育している未成年後見人がいる場合は、その未成年後見人に支給
・児童が施設に入所している場合や里親などに委託されている場合は、その施設の設置者や里親などに支給
・保育料や学校給食費などを市区町村が児童手当から徴収することも可能
5.特例給付
一定以上の所得になると、月額一律5,000円の特例給付に変わります。
2022年10月から所得制限が設けられました。所得制限は扶養人数によって異なります。
扶養親族の数 | 児童手当の所得制限(万円) | 特例給付の所得制限(万円) |
0人 | 833.3 | 1071 |
1人 | 875.6 | 1124 |
2人 | 917.8 | 1162 |
3人 | 960 | 1200 |
4人 | 1002 | 1238 |
5人 | 1040 | 1276 |
所得は夫婦どちらか高い方の前年の収入で判断されます。
また、扶養親族は扶養している「子ども、親、年収103万円以下の配偶者」が含まれます。
6.現況届の提出が不要
2022年6月から、児童手当の受給条件を満たしているか確認するための現況届の提出が不要となっています。
尚、「配偶者と別居している」、「DV被害等の理由により住民票上の住所以外の市区町村で児童手当を受給している」等の場合は引き続き現況届の提出が必要です。
児童手当の所得制限撤廃はいつから?
【2023年6月13日追記】
岸田首相の記者会見で、児童手当について、年収に関係なく、第1子、第2子は月1万円から1万5000円を、第3子以降は3万円を受け取れるよう拡充することを来年10月から実施すると表明されました。
6月13日表明内容
・所得制限撤廃
・第3子以降は3万円
・2024年10月から実施
【2023年5月31日追記】
政府が「次元の異なる少子化対策」の素案に、児童手当の2024年度中の拡充を検討すると明記することが分かりました。不支給や減額となる所得制限は完全撤廃される方向です。

いよいよ児童手当の所得制限撤廃が現実味がおびてきました!
【2023年3月24日追記】
政府が2023年3月末にまとめる「異次元の少子化対策」のたたき台に、児童手当の所得制限の撤廃、複数の子がいる世帯への加算、対象年齢の引き上げを明記することが分かりました。
開始時期や金額などについてはまだ明記されず4月以降に議論されます。
【2023年4月1日追記】
2023年3月31日(金)に「異次元の少子化対策」の具体化に向けた、たたき台がまとめられ、まずは3年間で集中して取り組むプラン「加速化プラン」を打ち出しました。
2024年度からの3年間を少子化対策の加速化期間と位置づけます。
そしてこの「加速化プラン」に児童手当拡充が含まれます。
【2023年2月】
現段階では、2023年2月3日の閣議後会見で、松野博一官房長官は、児童手当の所得制限撤廃の報道について「方針を決定した事実はない」と発言しています。
ただし「所得制限撤廃」の法案提出を受け、今後は所得制限撤廃も含め児童手当の拡充について本格的に検討する意向で、今後段階的に実施していく方針としました。
つまり、今のところ「決定」している方針はないけど、本格的に検討し、今後段階的に実施していく可能性が高いということ!

2024年は児童手当に大きな動きがありそう!今後の動きが注目されますね。
児童手当拡充で検討されている3つの案とは?
- 「児童手当」の所得制限の撤廃
- 支給対象年齢を18歳まで引き上げ
- 第2子以降の支給増額
支給対象年齢を18歳まで引き上げされる?
岸田首相が年頭所感で「異次元の少子化対策」を掲げたことから、国会では児童手当の拡充をめぐる議論が活発になっているのは、上にもあげたとおりです。
2023年5月、政府は児童手当について、新たに18歳まで月1万円を支給する方向で調整に入りました。
現在は中学生までとなっている支給対象を、高校卒業まで拡大する方向です。

18歳に引き上げが決定すれば、高校卒業まで児童手当が受給できることに!
第2子以降の支給増額はある?
児童手当の「所得制限撤廃」に向けて動き出した上で、児童手当拡充の方法について検討がなされています。
自民党は、「上乗せ(1人目からの一律増額)」ではなく、「多子加算」を検討しているようです。
2023年5月の段階では、3歳~小学生の第3子以降について、現在の月1万5000円から3万円に倍増することが検討されています。
【現在の支給額】※所得制限の対象となる世帯を除く
・0~2歳 :月1万5000円
・3歳~小学生:第1・2子月1万円/第3子以降月1万5000円
・中学生 :月1万円

「異次元少子化対策」の財源は?
政府は、5月にこども未来戦略会議を開き、「異次元の少子化対策」を実現するための財源について議論されました。
岸田総理は次のように話しています。
「大前提として、少子化対策財源確保のための消費税を含めた新たな税負担については考えておりません」
財源については、社会保険料に上乗せして賄う案が有力視されています。
政府は2026年度にも社会保険料を引き上げる方向で調整しているようです。
また国債の一種である「こども特例公債」(仮称)を2年程度にわたって発行する方針も固めています。
児童手当とこども手当の違いは?
1972年に始まり、50年以上の歴史を持つ児童手当。
少子化対策というよりも、子育て家庭の経済的負担に着目し現金給付を行うことで、家庭における生活の安定や、子どもの健全な育成と資質の向上を図るのを目的に始まったという経緯もあり、当初から所得制限が設けられていました。
ただ、2010年4月分から2012年5月分の支給までの2年余り、所得制限がなかった時期もあります。
この2年ほど実施された所得制限がなかった時期の名称が「子ども手当」です。
しかし財源不足で「子ども手当」は廃止され、2012年4月分から「子ども手当」の名称は「児童手当」に戻り、6月分からは再び所得制限も復活することになりました。
このような経緯もあるため、所得制限撤廃には慎重に検討をする必要があるようですね。
しかし、今回の2月の所得制限撤廃の法案提出に対する動きは、これまでより具体的で現実味があり、注目度が高いですね。

最後までお読みいただき、ありがとうございました
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